第1話 『クズから始まる異世界生活』

「また、負けた」

この言葉を何回言っただろうか?
何回心で叫んだんだろうか?

この言葉が誕生日ならば僕は遠い昔に骨になっているだろう。
だが実際に誕生日とは1年に1回しかやってこないもので今年30を迎えた。
名前はワタル。名字はパチンカス。セカンドネームはクズ
パチンカス・クズ・ワタル

名字からもわかる通りパチンコパチスロが好きなのだ
ギャンブルが好きだというよりはパチンコパチスロが好き。
18歳から通い始めたパチンコ屋さんへもう12年も通い続けている。
キャバクラならばお気に入りの子を落とせててもおかしくはない。
大学生ならば世間からの目が痛く感じて仕方がない
社会ならばそれなりの中堅どころになっているかもしれない。
それくらいだ、それくらいの年数なのだ、12年は。

だが僕はというとその12年をパチンコ屋さんに通い続けることに消費をしている。
もちろん仕事はしている。クズクズと自覚はしているが仕事はしているのだ。12年働いてはいるのだ
親の世話になり学校に行かせてもらったのだ、就職しないなんてバチが当たる。
今は消費者金融の世話になりパチンコ屋に行かせてもらっている。成長してるのだ。
中堅どころか窓際に等しい存在ながら仕事はしている

打つことしか取り柄がない…いや取り柄ではないがこの打つことを僕から取ると何もないのだ
上記を見てもらえればすぐわかるが何もないのだ

だから僕は打つことにした。この途方も無いパチンコ屋というジャングルを気が済むまで冒険したい


心の中での自己紹介はこの辺にして目の前の抽選に集中したいのが本音なのだ
この日は僕達打ち手が勝ちやすいかもしれないねっていう日。ただし抽選という荒波をくぐったらの話。

20分後僕は喜びで胸が高鳴る
ドクンッドクンッと鼓動は聞こえなかったから自分で言った
『『8番』』

よっし!もろた!よし!もろたもろたもろたもろた!!!座れる!狙いに座れる!!もろた!!
座るのはリゼロ。台の説明なんてしない。リゼロ。

この日は必ずリゼロが全6だろ!?勝つから帰りにご飯にから揚げまで買える!!
この程度の物欲しか出ない自分を心底愛している。

開店と同時に目指すお宝の島へ。秘宝へ。



〜5時間後〜

















なぜ?なんで?クジラが勝つの?僕勝たないの?みたいなことに気づいた時には既に3万円失う…夢を見たってなら話はわかるがこれは現実であり幻影ではない

スッと席を立って回りを見に行った時にはもうわかっていた。今日に限ってリゼロじゃないんだよね
店長に絶対俺が座るからって理由でやられたんだ間違いないというスペシャルな被害妄想をしながら今日も店をあとにするクズワタル。

「また、負けた」
でもきっとまた来月は必ず大丈夫!絶対大丈夫!
そう言ってまた明日には来てるくせにっていう店長の心情を察したからこそ僕は明日もまたこの店にくるのであった。

第2話へと続く

※この物語はフィクションです。登場人物等全て架空の存在です。

























『作者部屋』
自己紹介に文章割きすぎたわ、全然創作っぽくなくなっちゃった。
作中のワタルはパチンコパチスロのみですが作者は競馬も大好きなのでこれから明日の予想するんだもんね!